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時間管理の達人

JUGEMテーマ:ビジネス

時間管理について、私が実際に接したことがある「時間管理の達人」のことをお話しします。

私は大学を卒業してから、ある大手のコンピュータゲームソフトメーカーで働いていたことがあります。業務はゲーム企画と制作進行といったところでしょうか。やりたい仕事でしたので、それなりに打ち込んで働いていました。

今日お伝えするのは、この会社の一年先輩のデザイナーの方です。ここでは仮にYさんとしておきましょう。

私とYさんは、それほどソリが合う存在ではありませんでした。たまたま同じ上司の下で働いていて、表面上は仲良くしないといけないと、お互いに感じていたと言ってもいいでしょう。
私が部署替えになってからは、その表面上の仲良さも必要なくなり、二人は陰日向なく反目し合っていました。

ところが、転機が訪れます。

私が所属している部署に、このYさんも配属されて来たのです。コンピュータゲーム制作は、チーム単位の業務です。チームが違えば、同じ部署と言っても100人以上がひしめいているフロアですので、顔を合わせる必要はありませんでした。しかし今度は、私とYさんが同じチームに配置されてしまったのです。

この頃は、自分たちが大人であることを意識したためか、互いにいがみ合うことはしなくなっていました。が、どこか他所他所しいところがあったことも否めません。
しかし、私たちが配属されたチームのノルマは殺人的(?)で、およそ9ヶ月以内に、「不可能だ」と言われていた移植作業をしなければなりませんでした。

私は企画面と制作進行の立場でしたので、ゲーム全体のことを、チーム内では最も多く把握していました。
ゲーム制作のチームですから、基本的にはプログラマとデザイナーが実作業をこなしていきます。ですが、シナリオ操作が重要だったゲームでしたので、私が背負った作業量が最も多いという、なんともしんどい仕事でした。

さて、そのYさん。彼もプロですから、自分たちのチームが抱えている作業量が尋常ではないことを、強く意識していました。

最初の頃に、チーム内で作業分担を、各個人に割り振っていきます。彼の担当する業務は、同じチームの他の若手では出来ない、経験と工夫を要するものでした。

作業分担が決まって、彼は自分なりに、自分がやるべき作業の全ての洗い出しをしてきました。それを制作進行の私のところに来て、二人の考えている作業量が食い違っていないかどうかを確認しました。
それが終わると、Yさんは一人で食堂に行き、しばらく紙とにらめっこしながら自分の作業スケジュールを考えていたようです。フロアに戻ってくると、「俺はこのスケジュールで作業を進めるよ」と報告をしてくれました。

それからのYさんは、本当に時間管理の達人でした。
すでにその日一日、何の作業をするかをスタートの時点で決めていて、必ずそれを守り通しました。しかも驚くことに、会社の終業時間(一応の名目は17時でしたが、業界の体質からか、それを守れる人はごく少数でした)を少し過ぎた辺りで、その日の予定を全て解決して帰宅の途につくのです。

ちなみに私たちが属していたこの会社、何度か給与体系が変更になったことがあります。
ゲームの開発部門ですから、残業や休日出勤は当たり前。それを勘考して、はじめの頃は開発手当をいう名で「見なし残業代」がついていました。つまりは、どれだけ残業してもしなくても、もらえる給料は一緒と言うことです。残業を月に100時間したからと言って、残業代が増えるわけではありません。
しかし、ある時期、経営陣の思惑から「見なし残業」を辞めて、実残業代を支給するという方針に変わりました。そのほうが安上がりだと思ったのでしょう。

ゲーム制作企業だからといって、残業代がもらえるのであれば、日昼は何となく仕事をして、その流れで残業をしてから帰る人が多くいたのは事実です。(中には残業代を申請して、自分で持ち込んだ携帯テレビに見入っているばかりの古株もいました)

この状況下で、Yさんは残業しないのです。

勝手な類推をすれば、このときのYさんには既に結婚を約した女性がいらして、しかもその方が結構重い病気であったため、とにかくプライベートに使える時間が欲しかったのかも知れません。
ここまで深刻な思いであったかどうか、私には知るべくもありません。が、別に似たような事情を抱えていた同輩が、なかなか作業を全うできずに、Yさんのように早く帰宅できていなかったのを覚えています。この同輩、やっかみからか、Yさんに与えている作業量が少ないのではないかという根も葉もない話を、私にしてきたことがあります。それはやっかみ以外の何者ではないことを、ここでも明確にしておきますが。

さて、このYさん。
残業代が欲しくてのんびりしている人や、前述のやっかむ者の目など無きに等しい涼しい態度で、しかし作業する手はもの凄いスピードで、日々の業務をこなしていきます。
私は私で、Yさんの横の席に座り、やはり凄い騒音とともにキーボードにシナリオやその他の制御文を打ち込んでいく日が続きました。

とくに私とYさんが和解のための何らかの儀式をおこなったのではないのですが、この異常な作業者二人は、やがて、ソリが合わないまでも、互いのことを否定しないような「了解」が生じていたのだと思います。

ある時、Yさんがそっと私に打ち明けました。

「あのな、俺は残業しないで定時が来たらすぐに帰宅しているだろ。これは別に、手抜きしているわけじゃないんだよ」
私は横でYさんの業務の速さと正確さを知りながら、ちょっとした感動を持っていましたから、「そんなことは分かっていますよ」と返事します。
Yさんは続けます。「今の会社、残業制に変わっただろ。そうなってから、意味もなく残業するヤツが増えたような気がしないか。でも俺は、余分に残業代が欲しいからと言って、むやみに作業をゆるゆる進めるヤツと同じことはしたくない」

このことをYさんがやってのけられるのは、以下の2つを知り抜いていたからです。
◎スケジュールの中で、自分が絶対に成し遂げなければならない作業量
◎自分が作業をこなせる速度と、提供できるクオリティ
この2つのことを確実に把握していなければ、スタート時に立てたスケジュールを守ることは出来ませんし、また、スケジュール通りに進めているだけで、確実に締め切りを守り抜くことも出来ません。

ちなみにYさんは普段、休日出勤もしませんでした。確か一度だけ、平日にどうしても彼女に付き添ってやらねばならないからという理由で、前倒しで日曜日に勤務し、その後の平日に休みをとったことがあっただけです。

今になって当時のことを振り返ると、まだ20代後半という若さで、あれほどの自己管理をしていたYさんのことを、尊敬と共に思い出します。

あのときYさんが「残業代目当てのヤツら」を非難がましく言ったのは、私にそれなりの共感を示してくれていたからでしょうか。最も当時の私はと言えば、背負った作業の重さに、最後の最後まで会社に泊まり込んでいましたが。(でも、部長命令で残業代をもらえなかったのですよ。それが返って、Yさんの共感を得た理由かも知れませんが・・・)

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